だいたい吉祥寺に住まう

ゆるく楽しく、
都市住まいをする大人のために

浦河通信

故郷の北海道浦河町に戻って、数えてみたら40年以上が過ぎました。
大学卒業後に東京で仕事をしていた時期もありますが遠い昔になりました。
道内の新聞にエッセイを連載して以来の執筆です。ここでは北海道で暮らす様子を楽しみながらお届けします。

高田 則雄

2024.11.01 更新

四十年ほど前、わたしは少年時代を過したこの町に帰って来た。数年後、偶々見た新聞で、ここから百キロほど離れたある町で、松茸が採れたという記事を見た。

ともに日高山脈を背にした海沿いの街、あすこに有るならここにも有る筈と、山に住む知り合いに片っ端から電話をかけた。すると‟あのあたりにある筈”という返事。

小躍りする気持を抑え切れず、早速、あのあたりの山の斜面に取りついた。皆伐を終えた山の斜面、一時間ほども探したろうか。あったのだ、枯れかけたアカマツの根方の笹わらに四、五本の塊りが。

以来三十年、九月下旬から十月上旬、我家の食卓に あの香りあの味が載る日がある。