1980年代から、ほぼ毎年ヨーロッパを中心に古代ローマの遺構に足を運んでいます。
古代ローマの足跡は非常に広範囲で残っており、現地に訪れると書物からだけでは計り知れない歴史が、実感として伝わります。
コロナ禍になってから、今の所は海外へ行けないままの数年が過ぎました。
ここでは、20年以上前のフィルムで撮影した写真や数年前の写真を織り交ぜてお見せします。
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本村凌二(Motomura Ryoji) [西洋史家 東京大学名誉教授]
2024.10.23 更新
トルコ西部エフェソスの100キロほど北にあるペルガモンは、ヘレニズム時代の古代都市である。紀元前3世紀半ばから2世紀に栄えた。
写真のペルガモンの劇場跡を含め、世界遺産にも登録されている地域。
トラヤヌスの神殿、ゼウスの大神殿、最盛期にはアレキサンドリアに等しいくらいに充実していたという図書館など、様々な文化を感じる跡が残っており歴史家の想像をかき立てる地域である。
2024.09.17 更新
ルーヴル美術館の繋がりでもう一枚選んでみた。
「サモトラケのニケ」は、何度見てもハッとさせられ心を大きく揺さぶられる作品である。
大理石でできているギリシャ彫刻の傑作、勝利の女神ニケは、エーゲ海のサモトラケ島で見つかった。
ルーヴル美術館の展示場所は、これ以上にふさわしいところはないだろうと思えるような階段の踊り場(ダリュの階段踊り場)に据えられている。心の準備をして正面の遠くから眺めて近づいても、階段を登り準備なく突然目の前に現れようが、ニケの周りに漂う圧倒的な空気を感じ、作品の力強さと流れてきた時間の重さを受け止めきれないで、ただ見入るだけである。
2024.08.16 更新
パリでのオリンピックは、日本勢のメダルラッシュで終わったようだ。この後のパラリンピックも、同じ温度感で注目したい。
しばらくパリもご無沙汰だが、パリに行ったらほぼ毎回ルーヴル美術館に足を運んでいる。ルーヴルはかなり広いので、一度に全体を見学するのは無理だし、何度行っても何かしらの発見がある。
サンジェルマンデプレに定宿があり、そこからセーヌ川を目指して、ルーヴルまで何度歩いたことだろうか。
写真は、ルーヴル美術館メインエントランスに入って、内側のガラスのピラミッドから外を見た様子である。
2024.07.09 更新
ローマ劇場内の通路。外の日差しとはうらはらに、通路の日影はひんやりとする。
ローマ劇場は、非常に保存状態が良い遺跡である。1981年に凱旋門とセットで世界遺産に登録されている。
毎年、夏にはオランジュ音楽祭が開かれ、オペラの演目が上演されるらしい。
私が訪れた2015年にはその夏に「イル・トロヴァトーレ」(ヴェルディ作曲)、「カルメン」(ビゼー作曲)が上演されたようだ。
歌や演奏が、この通路にどのように反響するのだろうか。
2024.06.18 更新
アウグストゥスの時代に建造されたローマ劇場。
オランジュには、この日にパリから日帰りの予定で電車で移動した。まず凱旋門を見てその後に劇場近くで昼食をとった。当然のようにワイン付きである。
南フランスらしく日差しは強いが乾燥した気持ち良い風も感じる日だった。
2000年近く前の劇場で観客席にゴロリと横になり、かぶっていた帽子を顔に乗せ、15分くらい目を瞑った。贅沢な昼寝である。