写真家の船尾修さんの写真集『満洲国の記憶』は、前作の第42回土門拳賞受賞作『満洲国の近代建築遺産』を全面改訂し、収録作品やページ数を増やした増補版です。
本の帯に記されている「満洲とは日本人にとってなんだったのか」という問いかけは、今の若い年代の人々にとって何のことかわからない人も多くなっているでしょう。近現代の歴史や平和を考える上で、満洲は忘れてはいけない場所でもあります。
この著作は3年に及ぶ取材で、旧満洲国に現在も残る日本が造った建造物を探して撮影したそうです。その数は400を超えるとのこと。その時代の日本が何を考えていたのか、この作品から多くのことが伝わってくるようです。

船尾 修
写真家。1960年神戸市生まれ。筑波大学生物学類卒。出版社勤務の後、フリーに。アフリカ放浪後に写真表現の道へ。著書に『終わらない戦後』(2023年、論創社)、『満洲国の近代建築遺産』(2023年、集広舎、第42回土門拳賞)、『大インダス世界への旅』(2022年、彩流社、第13回梅棹忠夫・山と探検文学賞)、『日本人が夢見た満洲という幻影』(2022年、新日本出版社)、『カミサマホトケサマ国東半島』(2017年、青冬社)、『フィリピン残留日本人』(2015年、青冬社、第25回林忠彦賞、第16回さがみはら写真賞、第1回江成常夫賞)、『カミサマホトケサマ』(2008年、青冬社、第9回さがみはら写真新人奨励賞)など。現在は大分県の中山間地にて無農薬で米作りをしながら家族4人で暮らしている。